「推しのためなら、頑張れる!」
推し活をしている人なら、
誰もが思うことではないでしょうか。
仕事で疲れていても、
「週末は推しのライブ!」
と思うと、もうひと頑張りできる。
「推しに会うなら、
もう少しキレイになりたい」
と思って、ダイエットを始める。
「せっかくなら、
行ったことのない場所にも行ってみよう」
と、遠征してみる。

好きなものがあると
もの凄い原動力とパワーを生まれますよね(笑)
実は、そんな「推しの力」を感じさせる、かなり驚く実例があります。
「推しができたら、41kg痩せた」
2025年、文春オンラインなどで紹介されたのが、徳丸奈瑠美さんのケースです。
徳丸さんは、ミュージカル『刀剣乱舞』などに出演する俳優・アーティストの佐藤流司さんを知ったことをきっかけに、ダイエットを決意。
最高89kgだった体重が、1年半で48kgに。
なんと、41kgの減量です。
きっかけは、
「次に推しに会うまでに、
少しでもかわいくなりたい」
という気持ちでした。
推しを見に行ったとき、
会場にいるファンの女性たちがおしゃれにしている姿を見て、
「自分も変わりたい」と思ったそうです。
そして実際に、
毎日体重を記録する。
1日1万歩歩く。
エアロバイクをこぐ。
食事を見直す。
そんな行動を積み重ねていった。
しかも、ダイエットだけではありません。
その後、東京へ上京する決断にもつながったと本人は語っています。
つまり、
「推しができた」
↓
「かわいくなりたい」
↓
「ダイエットする」
↓
「自信がつく」
↓
「東京へ行ってみよう」
と、ひとつの「好き」が、次の行動を生んでいったんです。

もちろん、これはあくまで一人の方の体験談。
「推し活をすれば41kg痩せる」という意味ではありませんが…
なぜ「好き」という気持ちは、こんなにも人を動かせるんでしょうか?

① 推しは「行動する理由」を作ってくれる
「運動しなさい」
「勉強しなさい」
そう言われても、
「……あとでね。」ってなりません?😂
ところが、
「推しのライブに行く」となると、
急に動けたりするんですよね。
チケットを取る。
予定を空ける。
交通手段を調べる。
ホテルを予約する。
服を選ぶ。
美容院に行く。
普段なら「面倒だな」と思うことまで、
なぜかできてしまう。
これって、かなり
面白いことだなと。(笑)
心理学では、人は自分にとって意味のある目標や価値と結びついた行動ほど、動機づけられやすいと考えられているそうで…。
推し活の場合、
「やらなきゃ」ではなく、
「やりたい」が行動のスタートになる。
だから、
「運動しなきゃ」より、
「推しの曲を聴きながら歩こう」のほうが、
自分にとって自然な行動になることもある。

「推し」は、ただ眺める存在ではなく、
”自分を動かすきっかけ”にもなり得るんです!
② 「楽しみ」があると、今日を頑張れる
これは、
推し活のかなり大きな魅力。
月末にライブがある。
来週、新曲が出る。
明日は推しの配信がある。
来月はイベントがある。
すると、
「そこまで頑張ろう」という気持ちが自然と生まれる。
2026年のタニタによる「推し活に関する意識・実態調査」では、推し活をする人の77.5%が「生きることが楽しくなった」と回答。
75.7%が「“推し”を見ると気分の落ち込みが軽くなるようになった」、73.3%が「日常生活が充実するようになった」と回答しています。
もちろんこれは、推し活をしている人自身が感じた変化を聞いた調査です。
「推し活を始めたから、必ず幸福度が上がる」と証明したものではありません。
でも、
「推しがいることで、日常に楽しみを感じている人がかなりいる」ことは分かります。

「楽しみ」って、思っている以上に大きいんですね。
③ 推しは「自分もこうなりたい」を連れてくる
推しがいるとき・・
「この人の考え方が好き」
「努力している姿が好き」
「こんなふうになりたい」
と思うこともありますよね。
すると、推しそのものではなく、
推しの持っている価値観や姿勢
が、自分の目標になっていくことがあります。
心理学では、メディア上の人物との一方向的なつながりを「パラソーシャル関係」と呼びます。
研究レビューでは、こうしたつながりが、自己理解やアイデンティティの探索、個人的な成長と関係する可能性が整理されています。
たとえば、
「推しが毎日努力している」
↓
「私も少し頑張ってみよう」
「推しが新しいことに挑戦している」
↓
「私もやってみようかな」
という感じ。
だから「推し」は、
憧れる対象であると同時に、”自分のなりたい”を見つける鏡になることもあるんです。
④ 推しがいると、「自分の世界」が広がる
これも、推し活の面白いところ。
推しがいなかったら・・
行かなかった場所。
聴かなかった音楽。
知らなかった作品。
出会わなかった人。
始めなかった趣味。
ありませんか?

同じファンの人と交流することもあって、
色んな体験や経験ができるんですよね。
ファン研究でも、ファン同士の友人関係やイベント参加などの社会的活動が、ファンとしてのアイデンティティとウェルビーイングとの関係をつなぐ要素として示されています。
つまり、
推しそのものが世界を広げるというより、
「推しを好きになった自分」が動き出すことで世界が広がる。
これ、かなり興味深いですよね ^^
⑤ 「同じ好き」が、人とのつながりになる
「○○好きなんです!」
「え!私も!」
この瞬間、初対面なのに一気に話せる。
推し活には、そんな不思議な力もあります。
K-POPファン1,477人を対象にした研究では、ファンとしてのアイデンティティが、幸福感・自尊感情・社会的つながりと関連していました。

「推し」が、誰かとつながるための共通言語になるんです♪
⑥ 推しは「落ち込んだ日の避難場所」にもなる
仕事で嫌なことがあった日。
人間関係で疲れた日。
なんとなく気分が落ちている日…。
そんな日こそ、推し活をする。
これも単なる気休めとは言い切れません。
パラソーシャル関係についての研究レビューでは、好きな人物とのつながりが、ストレスへの対処や感情調整、つながりの感覚などに役立つ可能性が整理されています。
「今日はちょっと疲れたな」
と感じた日は、
好きなものに触れて気持ちを切り替える時間を持つ。
日常のセルフケアのひとつとして、取り入れてみてもいいかもしれませんね。
⑦ 「推しがいる自分」まで、好きになれることがある
推しを好きになると、
「もっと知りたい」
「もっと応援したい」
「この人のことを語りたい」
という気持ちが生まれます。
そして、その過程で、
「私って、こんなことが好きだったんだ」
「私、意外と行動できるじゃん」
「こんなに何かを好きになれるんだ」
と、自分自身について気づくこともある。
実際、推しとの一方向的なつながりについての研究では、自己概念や自己評価、自己理解との関係が研究されています。良い影響だけでなく、比較によって自分を苦しくする可能性などもあるため、一概に「推し=自己肯定感アップ」とは言えません。

推しを好きになることで、自分の世界を知ることができる。
「私はこれが好き」と言えることって、
実は結構すごいことなんですね。
じゃあ、本当に「推しがいる人は幸せ」なの?
ここまで読むと、
「やっぱり推し活って、めちゃくちゃいいじゃん!」
と思いますよね。
でも、研究をよく見ると、そんなに単純ではないことも分かります。
2026年に甲南大学が一般成人651人を対象に行った研究では、「推し」がいる人といない人を比較しても、幸福感や人生満足度、孤独感などの多くの指標で明確な差は確認されませんでした。
研究者は、「推し活をすると幸福になる」と単純に考えるのではなく、もともとの心理状態や、推し活を始める理由なども含めて慎重に考える必要があるとしています。
一方で、別の調査では、推しがいる人の幸福感が高いという結果も出ています。博報堂の調査では、「とても幸せ」「やや幸せ」と答えた割合が、推しがいる人で73.2%、いない人で52.2%でした。
……あれ?
研究によって、ちょっと違う。
これ、実は大事なポイントです。
つまり、
「推しがいるだけで幸せになる」
とまでは、まだ言えない。
でも、
推しをきっかけに、楽しいことをする。
人とつながる。
新しい場所へ行く。
目標を持つ。
自分磨きをする。
嫌なことから少し離れる。
そういう行動が生まれることで、日常が変わっていく可能性はある。
ここに、「推し」の面白さがあるんです。
「推しの力」って、思っているよりすごいのかもしれない
推しがいても、
毎日が完璧に過ごせるわけじゃない。
嫌な日もある。
疲れる日もある。
何もしたくない日だってある。
それでも、
「この先に楽しみがある」
と思えるものがひとつあるだけで、
明日がくるのが楽しみに感じるのではないでしょうか。
「これ好きだな」
と思えるものが見つかったら、
少しだけ、
その「好き」を大切にしてみる。
もしかしたら、あなたを動かしてくれるのは、
「頑張らなきゃ」という義務感じゃなく、
「好きだから、やってみたい」
という気持ちなのかもしれません。
今日も推しに元気をもらって。
そして、
推しを好きになった自分にも
拍手とエールを。
※本記事では、研究・調査結果と個人の体験談を区別して紹介しています。推し活による効果には個人差があり、「推し活をすれば必ず幸福度が上がる・痩せる」ことを示すものではありません。また、推し活が負担になるほどのお金や時間の使いすぎ、他者との比較などには注意が必要です。
