「了解しました!」
「お名前を頂戴できますか?」
「お伺いさせていただきます!」
普段、何気なく使っている言葉。
でも実は、
「これって、正しい敬語なのかな?」
と聞かれると、ちょっと自信がないものもありますよね。
そこで今回は、日常生活や仕事で使う機会の多い表現の中から、「実は間違いやすい敬語・丁寧な表現」を7つご紹介します。
①「了解しました」→「承知しました」
まずは、かなりよく使うこの言葉。
「了解しました」
もちろん、日常会話ではよく使われていますよね。
ただ、目上の人や取引先など、改まった場面では、
▶「承知しました」
のほうが無難です。
たとえば、
「明日の10時に変更になりました」
と言われたら、
「承知しました」
と返す。
これだけでも、
ぐっと丁寧な印象になります。
「了解しました」がすべての場面で間違い、
ということではありません。
友人や同僚との会話など、関係性によっては普通に使われています。
でも、
「相手に失礼のない表現を選びたい」という場面では、
「承知しました」を覚えておくと安心です。
②「ご苦労さまです」→場面に合わせて「お疲れさまです」
「ご苦労さまです」
これも、よく耳にする言葉ですよね。
ただ、
目上の人に対して使う場合は注意が必要です。
一般的な職場では、
▶「お疲れさまです」
のほうが使いやすい表現です。
とはいえ、「ご苦労さま」は絶対に目上の人には使えない、と単純に決めつけるのも正確ではありません。
文化庁の資料でも、「お疲れ様」と「ご苦労様」は単純な上下関係だけで使い分けるものではなく、実際の場面や職場の慣習なども関係するとされています。 (文化庁)
だからこそ迷ったときは、
「お疲れさまです」
を選んでおくと安心です。
③「お名前を頂戴できますか?」→「お名前を伺ってもよろしいですか?」
電話や受付などで、
「お名前を頂戴できますか?」
という表現を聞くことがあります。
でも、よく考えてみると、
「名前を頂戴する」
って、ちょっと不思議ですよね。
名前そのものを
「もらう」わけではありません。
より自然なのは、
▶「お名前を伺ってもよろしいですか?」
▶「お名前をお聞かせいただけますか?」
など。
敬語は、
とにかく言葉を丁寧にすればいいわけではありません。
「相手に何をしてもらうのか」を考えて言葉を選ぶ。
これが意外と大切です。
④「お伺いさせていただきます」→「伺います」
「明日、そちらへお伺いさせていただきます」
とても丁寧に聞こえますよね。
でも、実はここまで重ねなくても大丈夫。
文化庁によると、「伺う」は「尋ねる・訪問する」などの謙譲語として使われます。
そして「お伺いする」「お伺いいたす」「お伺い申し上げる」は、習慣として定着している二重敬語の例として紹介されています。 (文化庁)
つまり、
▶「伺います」
だけでも十分に丁寧。
むしろ、
▶「明日、そちらへ伺います」
くらいのほうが、すっきりして自然です。
「丁寧にしよう」と思うほど、言葉を重ねたくなりますが、敬語は「長ければ長いほど丁寧」ではありません。
これ、覚えておきたいポイントです。
⑤「ご覧になられる」→「ご覧になる」
これも、つい使ってしまいやすい表現。
「社長が資料をご覧になられました」
一見、とても丁寧そうです。
でも実は、
「ご覧になる」+「れる」
と、尊敬表現を重ねています。
これを「二重敬語」といいます。
文化庁も、一つの語に同じ種類の敬語を重ねる「二重敬語」は一般に適切ではないと説明しています。 (文化庁)
なので、
▶「社長が資料をご覧になりました」
が自然。
ちなみに「お召し上がりになる」「お見えになる」など、二重敬語でも習慣として定着している表現もあります。
だから、
「二重敬語=全部ダメ」
と覚えるのではなく、
「一般に避けたほうがいいもの」
と考えると分かりやすいです。
⑥「お客様が参られました」→「お客様がお見えになりました」
これは、「自分側」と
「相手側」の敬語を間違えてしまうパターン。
「参る」は謙譲語です。
つまり、自分側の行為をへりくだって表現するときに使います。
なので、
「お客様が参られました」
のように、お客様の行為に「参る」を使うのは適切ではありません。
この場合は、
▶「お客様がお見えになりました」
などが自然です。
文化庁も、尊敬語は相手側や第三者を立てて述べるもの、謙譲語Ⅰは相手側などに向かう行為をへりくだって述べるもの、と整理しています。 (文化庁)
つまり、
「誰の行動なのか?」
を考えるだけでも、敬語の間違いはかなり減らせます。
⑦「させていただきます」を何でも使わない
最後は、最近よく聞くこの表現。
「参加させていただきます」
「説明させていただきます」
「確認させていただきます」
「担当させていただきます」
便利なので、ついつい何にでも付けたくなりますよね。笑
でも、「させていただく」は、付ければ何でも丁寧になる魔法の言葉ではありません。
相手の許可や恩恵を受けて、その行為をするという状況に合っているかどうかがポイントになります。
たとえば、
▶「本日は私が説明させていただきます」
という表現なら、場面によっては自然。
でも、単純に、
「私が説明します」
で十分なところまで「説明させていただきます」とすると、少し回りくどく感じられることもあります。
だから、
「本当に『させていただく』必要があるかな?」
と一度考えてみる。
それだけでも、言葉がすっきりします。
敬語は「難しい言葉を使うこと」じゃない

ここまで7つ紹介しました。
①「了解しました」→「承知しました」
②「ご苦労さまです」→場面に合わせて「お疲れさまです」
③「お名前を頂戴できますか?」→「お名前を伺ってもよろしいですか?」
④「お伺いさせていただきます」→「伺います」
⑤「ご覧になられる」→「ご覧になる」
⑥「お客様が参られました」→「お客様がお見えになりました」
⑦「させていただきます」を何でも使わない
こうして並べてみると、
「え、これ使ってた……!」
というものもあったのではないでしょうか?
でも、間違えていたからといって恥ずかしがる必要はありません。
敬語って、それくらい難しいものなんです。
文化庁でも、敬語には尊敬語・謙譲語・丁寧語など複数の種類があり、それぞれ役割が違うと整理されています。 (文化庁)
一番大切なのは「相手を思いやること」
敬語を学ぶと、
「正しい敬語を使わなきゃ」
と、言葉の正解ばかり気になってしまうことがあります。
でも、本当に大切なのは、
「この言い方なら、
相手に気持ちよく伝わるかな?」
と考えること。
丁寧な言葉をたくさん並べることより、
相手との関係や、
その場面に合った言葉を選ぶこと。
そして、分かりやすく伝えること。
それが、相手への思いやりにもつながります。
今日から全部直さなくても大丈夫。
まずは、
「了解しました」→「承知しました」
だけでも意識してみる。
ひとつずつ、
自分の言葉を整えていけば十分です。
正しい言葉を知ることは、
「失敗しないため」だけじゃなく、
「相手を大切にするため」。
そんなふうに考えると、
敬語ってちょっと面白くなってきませんか?
